【音楽レヴュー】Cedric Dind-Lavoie/Archives

音楽レヴュー

2021年作

Cedric Dind-Lavoie(セドリック・ダンド・ラヴォワ) はカナダのケベック州モントリオールを拠点に活動するマルチインストゥルメンタリスト、 作曲家です。
モントリオール大学ではジャズ、コントラバスを専攻。初期のソロ作ではジャズ、ネオクラシック的な作風だった。

「Archives」 ではケベックの古い民謡の1940年~1950年の音源に自身の演奏をマルチトラックで重ねる手法が取られている。
ピアノ、コントラバス、ハルモニウム、アコーディオン、バンジョー、オートハープ、シンセ (Korg MS-20) などの音が重ねられています。
録音そのものを活かし、和音を付けたり、音色を重ねることでより現代的なものに甦っています。
耳に残る素晴らしいメロディーも多く、新しい民謡の再発見にもなりました。

古い音源から別次元の音源を作るまさに換骨奪胎な手法です。ヒップホップのサンプリング文化や、クラシックにおける新古典主義にも似ていますが、 元の音源の曲そのものを活かし、音を重ねられているところで相違点があります。

何より面白いと思ったのが、古い音源と新しく重ねた音との整合性が取れているところです。
古い音源はノイズ除去され、新しい録音はサチュレーションなどで古い録音の質感に合わせているのでしょう。

彼はライブでも同様の手法でオープンリールの古い録音の再生に自らの演奏を重ねる演奏をしています。動画を見ると制作過程がイメージしやすいです。

ケベックフォークについて調べてみたいと思います。
移民の歴史でもあるようです。

まず一つ目の流れが、
17世紀以降のフランス北西部からの移民です。
毛布貿易やカトリック布教の為に送り込まれたようです。

当初、ヌーベルフランス(現在のケベック州)には男性が多く、女性が極端に少なったかった。
そこでルイ14世の後援でフィーユ・デュ・ロワ(フランス語で王の娘たちの意)が送り込まれた。
1663年~1673年の間の移民政策で若い女性770人がケベックへ送りこまれた。
フランス本国のフィーユ・デュ・ロワがもたらした歌は、後にケベックのフォークソングの基盤になった。 口承の歌が継がれていった。

二つ目の流れが、
19世紀、英仏戦争でのフランス敗北以後のアイルランド・スコットランド系移民です。
フィドルなどのケルト音楽が入ってきたようです。
もともとのカナダの先住民のリズムと融合し独特なものになった。
ポドリズミーと呼ばれる足踏みパーカッションを用いた、踊り向けの音楽が独特です。

現代のケベックの音楽シーンも活発のようです。
「Godspeed You! Black Emperor」「Un Blonede」「Blue Hawaii」
「Planet Giza」「Honeshake」「Half Moon Run」「PopulationⅡ」「Telstar Drugs」なども聴いてみます。

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