Cian Nugent/Childhood, Christian Lies & Slaughter 2008年作

音楽レヴュー

ジョン・フェイヒィはシンプルでありながら複雑であるような独特なスタイルを確立した。
そのスタイルは一聴すると複雑に聴こえるが、内容は実にシンプルだと思う。
パンクやフォークがそうだったようにシンプルな物は広範囲に伝播する。
パンクは急激すぎる伝播力で広まり、そのシンプルすぎる構成があだとなって新たな創作を生み出す余地を無くしてしまったように見える。
フェイヒィが生み出したようなスタイルは多くのフォロワーを生み出したが、あくまでマイナーなレベルでしかない。
パンクと違ったのはごく緩やかに伝播したということだ。
徐々に広まり各時代に優秀なフォロワーを生み出した。
その流れは今でも続いていて、続々とフレッシュな音楽をやる人が出てきている。
行き詰まりを隠せないロックと比べても対照的だと思う。

そんな優秀なフォロワーたち、グレン・ジョーンズ、ピーター・ラング、ジャック・ローズ、ハリス・ニューマンなどと比べてもCian Nugent(シアン?チャン?キーン?、ヌージェント)の才能は遜色ない。
というか抜けていると言ってもいいくらい。

彼の曲の最大の特徴はメロディーの構成力だと思う。
実にポリフォニック(多声的)な構成になっている。
フェイヒィの初期の作品にも顕著にみられるところで「In Christ There Is No East Or West」なんかはそういう面がすごい。
戦前ブルースにもそういうポリフォニックな構成が見られるので、恐らくその流れからか、もしくは聖歌のたぐいからの流れかもしれない。
多くのフェイヒィフォロワーの中でもこのポリフォニックな構成をものにしているミュージシャンは少ない。
Cian Nugentは若干19歳の時にセルフリリースした作品でやっている。

このアルバムは彼のライブ音源の8曲を集めたものになっている。
先に挙げたセルフリリースした作品から5曲、新曲が3曲になっている。
新曲はどちらかといえばロビーバショーやジェイムズブラックショウなんかのスタイルの影響を感じる。
ライブアルバムということで、かっちりとしたフルアルバムという感じはしないが次回作の期待を大きく膨らましてくれ作品となっている。

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