2025年11月リリース。
1990年、1stリリースのベテランシンガーソングライターの13年ぶりの新作です。
そこには世界はあった
それはいつも12月だった、、
この歌詞から始まる「December」が名曲、12月のヘビーローテーションになっています。
魅力的なドリーミーなサウンド、メロディー、歌詞含め、大変素晴らしい。
自然や日常の中で垣間見る親しかったゴースト達との会話。
四季を巡る自然と孤独や喪失との対比。
とてもプライベートな作品です。
(録音は自身のアパートメントでされたようです)
Sleep with the Dogの歌詞では「木々を見つめ、犬と一緒に眠る 鳥に歌い、幽霊に話しかける」という一節が出てきます。
柳田國男の本にあった鳥霊信仰を思い出しました。日本のある地域では亡くなった人の魂が鳥に姿を変えて家に戻るという古い民間信仰があるそうです。
魂は軽やかなものという発想があり、鳥や蝶々になって出てくる。守護者的な幽霊です。世界各地でも類似の信仰はあるそうです。
こういうゴーストをポジティブな存在として捉えるのは良いですね。
常々、幽霊がもしいるのならもっと親密な存在だろうと思っていました。
怨念は持続しない、化けて出るにしても、もっとポジティブな理由だと思っていました。
ゴーストは困難の多い日常の手助けになってくれる存在だと思います。
深いリバーブの残響の渦の中で聴こえるメロディーは大変美しいです。
ミックスを担当したLance Powellの力も大きいようです。
最初はBandcampでデジタルのみのリリースでしたが、CDもリリースされました。
是非聴いてみてください。
Lori Carsonのこれまでのタイトルを辿ってました。
Lori Carsonの音楽を聴いたのは初めてでした。
ドリーミーで初々しいサウンドだったので、新人の初めてのEPなのかなと思いました。
調べてみるととんでもなくて、彼女は1990年に「Shelter」というアルバムでゲフィン・レコードでデビューしたベテランのシンガーソングライターでした。
このアルバムはMarc Ribot、John Fahey(なんと!)が参加していてびっくりでした。
1stでは商業的な成功に至らず、1年でゲフィンを解雇されています。

Lori Carson/Shelter 1990年作
その後、The Golden PalominosのAnton Fierの誘いにより同バンドに参加。
The Golden Palominosは1980年代前半より、ノーウェーブの流れより
アンダーグラウンドシーンで活動していたバンドです。
1983年の1stはArto Lindsayのプロデュース、Fred Frith、John Zornなど
錚々たるメンツです。是非LPで手に入れたいアルバムです。
ドラマーのAnton Fierを中心にメンバーは不定形のバンドで
音楽性もアルバムごとに違います。

The Golden Palominos/The Golden Palominos 1983年作
Lori Carsonは1993年、1994年、2作でThe Golden Palominosに参加。
彼女の貢献も大きく
特に1994年作の「PURE」はドリームポップ と トリップホップ を融合した音楽との評価されていて
90年代な要素を超えて、時代を超越している音楽と言ってもいいと思います。

The Golden Palominos/Pure 1994年作
The Golden Palominos脱退後のソロ3作目「Everything I Touch Runs Wild」では
ソングライターのレベルは飛躍的に上がり名曲揃いです。
「Black Thumb」がお気に入りです。
こつこつと積み上げていく、志の強さを感じます。
録音は当時住んでいたアパートメントで録音され、リラックスした雰囲気に繋がっています。
当時のインタビューでは高い機材はレンタルして録音したとあります。
いわゆるローファイの宅録音源ではありません。
商業的な成功にも繋がったアルバムだったようです。

Lori Carson/Everything I Touch Runs Wild 1997年作
その後の2004年作The Finest Thingは特異なものです。
ヨガ、瞑想に合う歌曲集の依頼で作られたものです。
深いリバーブ、持続するギター音、落ち着いた楽曲、本作のサウンドにの地続きにあると思われます。
Paul Pimslerは今作でもギターで参加しています。
アンビエントやニューエイジの文脈で聴いても面白い作品です。

Lori Carson/The Finest Thing 2004年作


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